19:00、中学校の下校時刻。誰もいなくなった校舎に響く、優しくも力強い歌声がありました。当時、放送委員だった私が校内放送で毎日流していた曲、それがマイケル・ジャクソンの"Heal the World"でした。

正直に告白すれば、当時の私は英語に全く興味がありませんでした。それどころか、大人たちに反抗し、問題を起こし、他人の痛みなど想像することさえできない未熟な少年でした。英語教師になるなんて、夢にも思っていなかったあの頃。そんな私がなぜこの曲を選んでいたのか——。理屈ではなく、その歌声に「頼もしさ」を感じていたのかもしれません。

「世界をより良くする」という使命の再発見

44歳になり、教育者として、そして一人の世界人として活動する今、改めてこの歌詞が胸に突き刺さります。

"Make it a better place for you and for me..."

言語を教えること。それは単に単語や文法を詰め込むことではありません。生徒たちに、この広い世界で何が起きているかを知るための「窓」を与え、他者を尊重し、繋がりを作るための「道具」を渡すことです。ユネスコが提唱する「グローバル・シチズンシップ教育(GCED)」が目指すのは、まさに平和で公正な社会を作るための市民を育てることですが、私の原点はあの放送室にありました。

共感が育む「利他的な学び」

近年の教育心理学では、Social Emotional Learning (SEL)、すなわち「社会情緒的学習」の重要性が叫ばれています。音楽や芸術を通じて他者への共感力を養うことは、言語習得の障壁となる不安(Affective Filter)を取り除くだけでなく、学習の動機を「自分のため」から「誰かの役に立つため」へと昇華させます。

私が現在推進しているデジタル教育の形や、Global Classroomでの活動も、その根底は同じです。楽しく学び、文化を理解し、尊敬の念を持って世界と繋がること。マイケルのような巨大な発信力はなくても、目の前の子供たちを繋ぎ続けることで、それはやがて大きな愛や友情に変わると信じています。

次世代のために、今できること

私たちは今、分断や紛争が絶えない複雑な時代を生きています。しかし、だからこそ教育には希望が必要です。「世界を癒そう」というメッセージを、私はこれからも授業を通じて、またテクノロジーを通じて伝え続けます。自分の活動が間違っていないと、今の自分なら確信を持って言えます。

皆さんもぜひ、改めてこの曲を聞いてみてください。そして、子供たちのために、私たちに何ができるか一緒に考えてみませんか?

"Make it a better place for the children."

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